新お坊さんの智恵袋

どうげんが毎日発信〜きょうの広済寺・住職の予定情報をいちはやく!

夏野菜のすき焼

9月は食についてお話しております。こちらが広済寺の典座(てんぞ)。つまり台所です。

平日のスタッフへのまかないはじぶんがつくっています。

4年前に完成した書院千手閣はオール電化。この時間帯は太陽が電気を作ってくれています。典座はIHコンロに、業務仕様のシンク4基で、人寄せに対応できるようになっています。姿は変えてもかまど(火)や井戸(水)の神を敬うために、こんな札をじぶんで筆耕しておまつりしてあります。

ご法事のときには配膳業者の方が入ります。お施餓鬼のときは丹沢そばさんに接待の食事をお願いしています。つくる、あらう、しまうにはこれくらいの容量が必要になるのです。タオルやふきんを洗うのと、どうしても汚れるので、洗濯機も一緒において同線をよくしています。室内はかなり暑くなることと、エアコンをたくので、洗濯物は室内で乾かします。
★夏野菜のすき焼
すき焼というと寒いとき食べる感じがしますが、夏野菜でもおいしくできます。おてらの畑で採れる野菜は、季節の変わり目で撤収してしまうため、無理やり収穫となり、冷蔵庫の容量にしてはかなり供給過剰となってしまうのです。その野菜をおいしくはかせるために、ゴーヤチャンプルやすき焼はこの時期の定番メニューなのです。

▲下ごしらえです。今回は冷蔵庫にあるものを使い、鉢払いとしました。たとえ1品でもある野菜を使えば十分だと思います。

▲前日、おやすみ前にだし汁をつくっておきます。鍋に水を張り、どんこ(干ししいたけ)と昆布をいれておくだけです。まだどんこが硬かったので清酒を加え、中火でしばらく加熱します。

▲豚肉のバラです。お肉は最近では、お友達の本多さん(ミートランド本多肉店:秦野駅前・大秦ショッピングセンター内)で仕入れています。肉の柔らかみとうまみがあっておいしいからです。広済寺には電子レンジがありません。電磁波を浴びたものを食べたくないことと、レトルト食品など安直なものに頼るのを避けるためです。仕込みの工程だけでも1時間はかかります。典座に入った時点で、一番に取り出し自然解凍させます。時間を無駄にしないのもどうげん流です。

▲しめじも消費期限まであと数日〜でも大丈夫。生かさなければ。

▲キャベツもお盆の頃のまかないめしで余ったもの。でもレジ袋にいれて、水切りをよくすれば夏場でも半月は大丈夫。よく洗って使いましょう。

▲ししとうは根元を外します。パプリカは縦に切り、ややかたい食感を残します。

▲なすとおくらは食べやすい大きさに刻みます。

ゴーヤは薄く切って、塩と酢と水を混ぜたものにつけ、アクや苦みをとっておきます。「すき焼にゴーヤ?」確かにそうなんです。個性が強いので、アクをぬいてちょっとなよっとさせてて使うことと入れすぎないことをおすすめします。ちょっと自信がない場合はパスしてもOK!

▲しらたきははさみで一口大に切って洗って、水につけアク抜きをします。しらたきは近くの農協さんで買った地元のものです。
さて。割り下に戻りましょう。どんこが柔らかくなってきたら、フライパンから取り出します。

味付けです。中火で温めていたフライパンへほんだしを2袋入れます。それから砂糖大さじ2杯強。そして丹沢そばさんのめんつゆと醤油で味を調えていきます。もちろん既製品のすき焼のたれでもOKです。

このあたりはお好みにお任せです。

▲本多さんのおいしい豚さんもいい感じで、だいぶ解けてきました。ほらね。ちょっと待つことさえできれば、電子レンジなんかいらないのですよ。砂糖と清酒をちょっと和えておきましょう。

▲「役者は揃ったぜ!」
下ごしらえ〜最後のステージに参りましょうか。

▲どんこは刻んで割り下に戻します。きょうは涼しいので、常温で置きっぱなしでも大丈夫でしょう。

▲名優さんたちはジップのコンテナに乗り換えます。ジップだとラップをする必要がないし、四角いから冷蔵庫に納めやすくなります。ジップを採用してから、ラップの使用を減らすことができました。ジップはお弁当箱にもなり、とにかく重宝なのです。

▲冷蔵庫に保存します。このあと、じぶんは寺務にはいります。お昼になったら、フライパンにバターをちょこっと入れて焚きます。あとは、具をテキトーに入れれば「夏野菜のすき焼」の出来上がりです。
シンクまわりの汚れはこれを使っています。

3Mのワイピングクロス。合羽橋のニイミさんで買っています。このあたりでは買えないんですね。汚れが洗剤をさほど使わなくても、よく落ちます。毛玉も残らないのです。

洗剤の類も業務用です。こちらは渋沢のパッケージプラザさんで買っています。「相変わらず洗剤が好きなのね?」と遠い昔にからかわれたものだけど・・・禅寺は清潔なのがふつうなのです。

生ごみは、一回ごとの作業が終わるたびに処分します。放置すればゴキブリと蠅の天国になってしまうからです。


蓋は本堂の下から出てきたもの。鋳物です。かまどの蓋かと思っていたら、古老の方が、「豆を炒るのに使っていたものだよ」と教えてくださいました。

古いタイヤを3層に重ねて作った雨水受け。ここが生ごみのコンポスターでもあります。粘土質の泥と混ざって、いい肥料ができます。泥はガーデニングに使います。

 食に携わると、準備、片付け、配分など考えさせられることがたくさんでてきます。食事をきちんととれること、健康に気を使うこと、きれいに残さず食べること、きちんと後始末をすること。・・・それぞれは小さいことですが、じつは、カラダと頭のトレーニングになっているのです。安易な食事ばかりをすると、こういう大事なことが奪われてしまうのです。今月は食のはなしを続けます。

つくるのも、食べるのも、大好き〜どうげん