新お坊さんの智恵袋

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塔婆のかきかた〜お施餓鬼編

今夏はCOVID-19のために、無観客開催となるお施餓鬼。今月から準備に入っています。

 塔婆のかきかたは、皆さまとてもご興味をお持ちになられるようで、アクセス数を増やしている理由でもあります。広済寺のお施餓鬼では、こんな感じで書いています。

2種類あります。○○○○家のみ入れればいいもの、為以下が無地のものです。

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▼裏はこうなっています。 ▼

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どちらもプレ印字です。私の文字で版を取っています。21年住職しているのですが、字の雰囲気がかなり変化したので、10年くらい前からは今の版になっています。

なぜ2種類が必要なのかというと、塔婆あげる方々のお名前が元の姓でない場合だと、「(旧姓)家先祖代々諸精霊位荘厳 施主様名(いまのお名前)」に当てはめる必要が出てくるからです。⇩左の2本⇩

それと、故人さんのお戒名でお供えしたい場合⇩右の1本⇩です。

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▲こういうことですネ!

書き方は…

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▲旧姓を入れて、あとは○○○○タイプに横っ面を揃えて、施主様のお名前を入れていきます。これにも発展型があって、お嫁に出たふたりの姉妹がご実家のお墓を守っている場合があります。施主様を連名にはできないので、子供一同としているおうちもあります。

文字にも気をつかいます。

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「ヨシダさんって、活字だと吉田さんだけど、

墓石の文字だと、下が長いよなぁ〜」と実地で、調べながらのことも、けっこう出てくるんです。あとで書き直しなると、余計に手間がかかるので、少しでも迷?なときは、一旦、作業をやめ、調べるほうに時間を割いていますね。

広済寺では、20年前から、上記のパターンの方々が多かったのですが、多くのおてらさんでは、それほど拘らずに、筆耕するケースが多かったのではないでしょうか?

でもよく考えてみてください。お嫁に出てタナカハナコさんになったお姉さんが、実家のササキ家のお墓も守っているのに、塔婆の筆耕がタナカハナコ家先祖代々だったら、間違いではないものの正確とは言えないでしょう。これでもいい!となぜ済ませてしまうのか?原因は名簿が手書きのみで、備考が出たら欄外に書き、記入した本人しかわからないような、処理の仕方をしているからです。おてらであってもデバイスを使ってふつうにしごとをする時代なのに、とても残念なことです。

 修行僧だった頃から、よそのおてらさんのお施餓鬼をみていて、塔婆の不備からくるトラブルはお決まりのパターンでした。

①名簿への記載漏れ→塔婆がない!

②名簿の修正不備→施主名がいまは亡き人のまま。

昔は良かったけれど、いまの世代の方々は許さないでしょうね。

必要なのは、「集金の現金出納管理と筆耕完了の有無との連動化」とその厳密な記録化です。昔。しきたりとは申せ、事務に疎い役員さんが、お施餓鬼に集まり、仕切ろうとするのに違和感を感じていました。お楽しみは、のむこと、食べること、だべることで、肝心な、おしごとができない。非常にムダだと思いました。「人が集まればしごとができる」と彼らはいうのですが、烏合の衆ばかりだと、ムダが増えます。理想的なのは経理畑出身で、伝票、そろばん、集計の概念がわかる人がいてて、ぐいぐいとリードしていくということです。

 広済寺では、お施餓鬼の集金と塔婆の管理は、私だけでやっています。致命的な混乱は皆無でした。きちんと整理してキカイ化して、お金のやりとりは郵便振替を使えば、働きもしない役員さんに、わざわざお寿司の出前をとって、応分の御礼もし、低頭してまでお願いするしごとなんかひとつもなかった…ということです。できない人に頼んでも、説明に手間がかかるし、並べたり、綴じたり、など紙をテキパキ操る事務ができません。

今夏はコロナ禍で、地区ごとの役員さんに集まってもらっての会議をどうするか?で困ったおてらさんの話も聞きます。広済寺では、当初は苦労したものの、役員さんに頼まなくてもいいお施餓鬼の準備システムをつくってあったので、むしろよかったのかも知れませんね。

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名簿をエクセル化すると、各セルがデータになりますから、列になる項目に申込者と施主名の2つあればよいのです。申込者と施主名が同じ場合と異なる場合があります。これをみえる化すれば、解決するのではないか?と早い時期にわかっていたのです。要は、「個々の取引を費目別に仕訳伝票化する」という発想があれば可能なことなのです。昨年よりエクセルと全く同じデータをiPadにも手打ちしてあるので、お檀家さんからのお問い合わせへのレスポンスもはやくなった上に、日々の作業が格段にラクになりました。

無地の塔婆は、故人さんのお戒名でお供えしたいとか、開山、歴代和尚への供養、元いらした寺族さん、無縁さん、戦争や大震災の慰霊の筆耕にも使います。

とまれ、7月盆訪問先だったおうちの塔婆が完了しました。

小さな睡蓮が

咲いてきました。

梅雨には晴耕雨読。〜どうげん