新お坊さんの智恵袋

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お盆の風景

 8月13日から15日は、8月のお盆です。年に一度、仏さまが、おうちに帰ってきます。13日は、朝からお墓へお参りし、仏さまをお迎えします。祭壇には、茄子の牛ときゅうりの馬。里芋の葉っぱにのせた洗米と刻んだ茄子は、牛と馬の餌です。向こうの世界から、馬に乗って速くきてもらって、お帰りは牛に乗ってゆっくりお帰りいただくのだそうです。地域によっては、これが逆の場合もあるようです。
 晩には、迎え火を、焚きます。おてらの門前は、夕暮れ時に、迎え火が、アリーナ状の通りにそって、灯ります。霊界と下界を結び、それはそれは、美しいながめです。
 広済寺では、12日の相模原の相武台から、棚経(たなぎょう)にまわりだします。13日は、おてらから近い上平間と慶徳寺分の小鍋島。14日は門前・下平間。15日は、伊勢原と平塚の市街地を回ります。
 15日は、仏さまが、あちらの世界に帰る前に、町でお買い物をするのだそうです。祭壇に、小遣い銭をお供えしているようです。お弁当代わりに、赤飯や鶏飯でつくったおにぎりも供えます。
 きょう16日は、午後からは、東円寺でお経をします。地獄の釜のふたが閉まる前の、念仏をおばあちゃんたちと一緒にするのです。見上げれば、空は高く、もう秋です。

 

 わたしが、訪問する時間帯は、例年通りで、15分と狂いがありません。ここ5年の実績を記録し、例年、ほぼ同じように回っているからです。
 お檀家さんは、「お坊さんがせっかく、来てくださるのだから・・・」とお接待なさいます。しかし、3日間でしか回れないこと。ほうぼうで水物を戴いてしまうと体が冷えて、体調を崩してしまうので、原則、お断りしています。
 「お坊さんが、来るついでに・・・」となる、法事の打ち合わせは、「日を改めて」とお願いをしています。
 棚経の時間帯は朝8時〜夕方5時半です。あまりにも早朝とか、一家団欒の夕食時を避けています。みなさんのおうちを3日で回ると一軒の持ち時間は、計算上、13分程度になります。予定を組まないと、それぞれの仏さまのお経が出来ないのですね。
 
 いまのスタイルが出来たのは、数々の失敗からでした。おうちが連続した軒で、遅れると、「まだか、まだか・・・」と、お隣さんまで、見に来られます。遅れて行きますと、「お隣さんは、お包みが多いんだろうよぅ〜」と心無い言葉に傷ついたこともありました。 ほうぼうでお茶をだせば、約束の時間帯がずれていきます。遅れれば、「お坊さんは、いまどの辺なの?」とおてらに電話が来てしまい、さらに、携帯にかかり、読経中に、なりっぱなしだったこともありました。
 現在では、ダイヤどおりに回っています。こたえはカンタン!みなさんに少しづつ、協力してもらい、ダイヤどおりにまわるしくみに変えればよいのです。
 ことしは、まわる時間帯を、はがきで事前にお知らせしました。しかしながら、棚経ダイヤからはずした方もあります。もう10年とお邪魔していても、お盆の準備ができない方です。不在がちで、再度訪問しなければならない方もはずしました。塔婆などの諸費に滞納がある方もはずしました。増えた時間を、心待ちにしている方へ、ゆっくりとお経をできるようにしました。
 「忙しい時代になった」とも言われます。本当にそうなのでしょうか。便利になって、なんでもかなうと錯覚しているだけだと思うのです。携帯もあります。人間の五感を満たす道具はたくさんありすぎて、いま、すぐ知りたい、聞きたいが可能な時代です。
 だからこそ、ちょっとの譲り合いで、みんなが楽になれます。そんなことを、ここ数年の棚経で学んでいます。 時間通りに、棚経にまわれば、みなさんも、来客やしごとの予定がたちます。定刻どおりに棚経にまわること。これも、広済寺のスタンダードです。