新お坊さんの智恵袋

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けんちんは魔物!

真冬に食べたいけんちん。でも味付けがうまくいかないので、若い方には敬遠されるようです。
☆仕込み
1.だしをとる〜鍋に水を張り、昆布、しいたけで一日おいておきます。


☆下準備
1.里芋〜皮を剥いたら、塩につけておきます。ぬめりをとります。

2.牛蒡〜刻んだら酢につけてあくを抜きます。
3.人参・大根・蓮根〜いちょう切り

☆作り方
1.だし汁を温めておきます。

2.蒟蒻〜よく洗って石灰分を抜きます。→塗り箸を輪ゴムで束ねて、表と裏をツンツンと突きます。→穴だらけになります。→ゆのみの口でひっかくようにして小間切れにします。

▲フライパンに油を敷いて乾煎りします。適宜、七味や一味をふりかけて乾煎りしてください。

▲豚肉の白味のような状態になったら、だし汁に投入!

▲こんなかんじです〜。
3・あく抜きした牛蒡をフライパンで炒めます。→だし汁に投入!
4.人参を炒めます。赤味と甘さを生かすため清酒を少量入れます。

→だし汁に投入!
6.大根を炒めます。→だし汁に投入!
7.蓮根を炒めます。→だし汁に投入!

8.里芋〜再度、水洗いします。→刻みます。

→フライパンで炒めます。醤油を少量かけます。こうすることで油と醤油がいいコーティングになって、形が崩れず、溶け出すのを防げます。→だし汁に投入!
9.醤油だけで味付けをします。清酒、市販のだし、めんつゆは入れないで!

だんだんと「けんちん」っぽくなってきました。

▲油と醤油のギラッとした熱い感じ。ああ〜いい香りです〜!

▲お豆腐を「さいの目」に切って投入!

薬味〜ゆず、刻んだ葱、茹でた法蓮草、鷹の爪の刻んだものをトッピング。これで完成です。味付けは作る人によって、また味わう人によって「濃い」、「薄い」の差が出ます。薬味は名脇役。苦い、辛い、酸っぱい、甘いのヴァリエーションが増え、だし汁のさじ加減をカバーできます。


 広済寺のけんちんは、オリーブ油を使っています。かつてはサラダ油でしたが、わたしがオリーブ油が好きだからです。まったく問題ないですね。おうちで食べるけんちんは油のノリが強いほうが好まれるようです。建長寺で大きな行事のときに出されるけんちんは、淡泊なかんじです。
 とってもおいしいけんちんですが、醤油の味付けがうまくいかないので、敬遠されるようです。原因は野菜にあります。特に冬の野菜は甘みが強いからです。人参や大根は汁を吸ってしまい、里芋は汁を吸ってしまううえに、ぬめりを出すという厄介者。味がまるで化けてしまいます。「甘いから〜」と醤油を足せば足すほど、ミョーな酸っぱさだけが出ます。もう完全な失敗です。いくら市販のだしやめんつゆを入れても、壊れた味は戻りません。
 これを防ぐ方法は次の2点を守ることです。
(1)里芋を投入する前までの段階で、野菜スープとしてもじゅうぶん飲める味になっているか?
ことばで表現するのは非常に難しいのですが〜「人参や大根の甘み。ごぼうの苦みと渋み。油のギトッとするでもない。そうかといってさっぱりというわけでもない。でもなんか上品な味。」〜です。
(2)里芋は下処理をきちんとすること。そして、最後に入れて、鍋のなかで泳がせる時間を減らすことです。

 よく「けんちんは煮返すほどうまい〜」といいます。本当にそうなのでしょうか?時間がたてば、たつほど、具は崩れ、汁分を吸ってしまうので味がどんどんぼけてきます。ギラッと油が浮いて湯気がタッているうちに、ゆず、ねぎ、唐辛子、茹で菜を添えて、速攻、食い上げるべきだと思います。
 けんちんの具材にはアクの強いもの、苦いもの、甘いものがあります。それぞれの特徴を上手に生かすとおいしくなります。勝手な判断や思い込みでやってしまうと失敗します。「お〜っ!!」これは、人間関係と同じなのかもしれませんね。
 けんちんは魔物です。作る分量やその日の気温によって作業の段取りや味付けを考えなければならないからです。じかんも手間もかかります。だから失敗してしまうと、もう二度と作ろうとは思わなくなります。かくいうじぶんもそうでした。料理が上手なオバちゃんのやり方をみたり、プロの方に教わったことを、部分、部分で取り入れてきました。どうげんレシピは進化形なのかもれません。
 きょうのレシピでやれば、とりあえず、はずさないけんちんになると思います。      どうげん