新お坊さんの智恵袋

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竹やぶ


おてらには竹やぶがあります。20年くらい前までは竹がうっそうとして「おてらは暗くて怖い感じがした」と古老の方々からうかがっています。昨年、書院の建設が進み、基礎工事のために地盤を掘り返したときには、竹の根っこがたくさんでてきました。

本堂は関東大震災で倒壊し、その後、前の本堂の使える柱を再利用して建てられたものです。震災後は雨が降り続き、巻物や書の類をほうぼうの家でも処分したとか。一年近く伊勢原の人たちはバラックで過ごしたそうです。本堂を再建したのが17世花島渓山和尚さまでした。解体して使える木材は柱に、そうでないものは焚きつけに使うこと。工期、人員の工賃、図面などを渓山和尚さまが自ら書いた詳細になった記録が残されています。昭和3年ですから小田急線が開通したころの出来事です。

現在も大切にみなさんの憩いの場になっている本堂です。つか石は漬物石よりひとまわり大きいくらいです。地震の揺れを逃がすには好都合なので、免震になっています。それともうひとつ。渓山和尚さまが、関東大震災を教訓に竹をたくさん植えて、やぶにしていったのではないかと考えるのです。3月11日の地震のとき。もし、竹やぶがなかったら裏の築山も崩れたでしょうし、本堂の地盤も危うかったかもしれません。「地震が起きたら竹やぶに逃げろ」といいます。竹やぶと境内の大木たちが深く根を張り、本堂を守ってくれたようです。渓山さん、ありがとう!

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