新お坊さんの智恵袋

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かおり

dohgen2008-11-27

 先日、人形供養をした方から、電話がありました。
「あの朝、おてらで嗅いだかおりが忘れられない。譲ってもらえませんか」
「えっ?」
「取引先の事務所に行くと、広済寺と全く同じかおりがする。そこは、東京の一等地にある高級食材の会社でね。先代社長の遺影が中央に掲げてあって、香が焚いてあるんだ。」
「少しならいいでしょう。・・・でもこれは沈香(じんこう)と言って、儀式に使うものなの。」

 驚きを隠せない私。お寺をお守りして10年ですが、香を欲しいというのは初めてです。
事務所や応接室に香を焚く方は、けっこういらっしゃるようですね。
 床の間は、みやげ物とか骨董がいっぱいになってしまうのですが、
仏間だから、本来は、床の間には掛け軸、野花の一輪挿し、香炉だけ。
香を焚いて、客人をもてなします。
 
 ともあれ、おてらでふだん使っている、かおりが喜ばれたのはうれしいことです。
儀式の前に焚く。お客様がお見えになる前に焚く。もてなす気持ちを大切に。


 広済寺で使っている沈香は、松栄堂さん製のものです。ご本山の建長寺で、毎年8月にある開山忌。大半の和尚様がたはお昼で帰ってしまうのですが、最後、三浦からの方々を招いて開催される、お施餓鬼まで出頭すると戴ける大変貴重なものなのです。
 なお、みなさんがお焼香なさるときの、抹香は、大磯にある香山堂さんのものです。