新お坊さんの智恵袋

どうげんが毎日発信〜きょうの広済寺・住職の予定情報をいちはやく!

箱庭解説

 

お彼岸2日め。平日ながらたくさんの墓参の方々がありました。ありがとうございます。

f:id:dohgen:20190319185848j:plain

▲タオルは日々、洗いにかけています。ここにあるブラシやたわしを使ったり、マイ道具持参で、墓石を磨いたりされています。黒くなったタオルは墓石を拭いているからです。そういう行いが、他の人を感化し、仏心になっていきます。明日は水曜日なので可燃ごみ。仏花を包装したビニールや紙類をほかさなくては。けっこう溜まっています。

箱庭「ほとけはみている」を解説します。

f:id:dohgen:20190319190610j:plain

▲お地蔵さんを囲んで、ビオトープ兼雨水貯め用の睡蓮鉢、ガマがいます。作務をしながら見つけたきれいなものを分類し、お供えものに見立てています。南相馬、釜石、仙台等、被災地での思い出が作庭の動機でした。

f:id:dohgen:20190319191633j:plain

▲「たぬきの学校」です。たぬきは「他を抜く」の字面から縁起物。建長寺の三門のために尽力したたぬき和尚伝説もあるのでたぬきにしました。

f:id:dohgen:20190319192345j:plain

▲モチーフはいまはなき青山学院大学厚木キャンパス。1981年の開学当初はたぬきがいたそうです。北口寄りには太鼓橋で和の感じにしました。往時の思い出と資料を頼りに日々、リアル化を進めています。中に入れる回遊式庭園なので、学食棟の平面化や本来あった名称の韻を残しながらの改称等、デフォルメ満載です。

f:id:dohgen:20190309181523j:plain


秦野斎場の2階の待合からの丹沢山系の眺めに、妙な既視感がありました。かつての教室や学食からの眺めにそっくりなのです。先日、30年ぶりにアメリカから訪ねてきた留学生だった友人を厚木に連れて行ったのですが、校舎ロス・ロス感を目の当たりにしたことが作庭の動機となりました。閉鎖後16年。1987入学のわたしは51。開学初期に学んだ人なら還暦近いことになります。相模原に移転し、レジェンドの文系学部は本校で4年間となり、存在すらも忘れられるのは惜しいことです。建長寺や赤レンガ倉庫と並ぶ神奈川県の建物100選にもなっていながら、記念碑も無いのです。ということで、禅の見立てで復元しました。

おてらなので、観音さんとお地蔵さんに変わったのは遊び心ということで。この「工事?!」が始まった12月以来、落第する悪夢から解放されました。全くもって不思議です。「厚キャンを忘れないでくれ〜‼︎」という校舎の魂だったのかもしれません。ここは八百万の神の国ですから。。。。。

f:id:dohgen:20190319193523j:plain

▲手前の石2つは、それぞれ乙女石、ますらお石。

f:id:dohgen:20190319193657j:plain

▲がまぐち石。カタチがそのものですね。

f:id:dohgen:20190319193829j:plain

▲これは航行する船。

f:id:dohgen:20190319193953j:plain

ジュゴン石。2代前の渓山和尚さまの頃、玄関に置かれ、下足の脱ぎはぎに使っていたものです。

f:id:dohgen:20190319194200j:plain

▲水面に顔を出すしぐさが似ているので、イルカ石。

f:id:dohgen:20190319194443j:plain

▲ごつごつ感がそのものなので恐竜石。▲▼乾くとワニとか大蛇とか種が恐竜だったものを連想します。▼f:id:dohgen:20190319194613j:plain

f:id:dohgen:20190319195101j:plain

▲カタチのままにダイヤ石。

石はこれで7つ。六道を越えて七が、悟り。誕生まもないお釈迦さまが7歩歩いた故事ですね。もうひとつ、現代の悟りとして伝えたかったのは、他の人との差を取ること。「じぶんはじぶんの足るを知る」を素直に受けとめることを表現してみました。

たぬきの学校を8つめの石に見立てれば、あとは万事が末広がりの八になり、数字の8は横にすれば∞無限大。終わり良ければすべて良し。。。。。というゲン担ぎの物語になっています。グローバル化のもとに翻弄されながらも、あきらめずに、頑張っている、回復させたたくさんの人。わたしの身の回りにも、そういう人が増えてきたように感じます。

 

全体でみてみましょう。そのまま石でもよし、海に浮かぶ島とみてもよし、ご自由に。絵でもそうなのですが、遠近感があるものが好きみたいです。f:id:dohgen:20190319115418j:plain

水墨画とか庭には ストーリーがあります。〜どうげん