新お坊さんの智恵袋

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ことし初の土曜法話

今日は法話で、建長寺に来ています。箱根駅伝東海道を通過するので早めに鎌倉へ向かいました。建長寺には静寂の中に凜とした何かがあります。お話は11時と1時の2回です。境内はいまのところ閑散としています。奥の半僧坊では祈祷会が行われています。http://f.hatena.ne.jp/dohgen/21%e5%b9%b4%e5%88%9d%e3%80%81%e5%9c%9f%e6%9b%9c%e6%b3%95%e8%a9%b1/
 
★きょうのお話★・・・11月の宝物風入れの頃から、近くのショッピングモールにはクリスマスツリー、一般の家庭でも、見事なイルミネーションが見られます。最近ではクリスマスイブのさらに前の日を、イブイブと呼ぶようになりました。ちょうど祭日と週末が重なり、お休みに入るのが早くなったためでしょうか。初売りと言っても、大晦日も深夜まであけていたお店やさんが、またいつもどおり営業するのもふつうになっています。小さい子は、お年玉を握って、初売りを喜ぶ感覚って、ひょっとして、ないのでは?
 伊勢原のおてらを守って10年になります。元旦は大般若会のお経をし、おみきと建長汁で温まっていただいています。インドから中国へ、経典を持ち帰った三蔵法師にちなみ、大般若経を読むのです。仏教は、中国、朝鮮半島を経て、日本にきます。建長寺鎌倉時代に、中国の影響を強く受けた禅の教えです。一緒に、中国の土地神さまや民間信仰も、鎌倉に入ってきたのです。
 おなじみの建長汁は、中国の禅僧が伝えたものです。いまは、広まって、みなさんのおうちの味があります。おてらならば、全くの精進でしょうが、お肉をいれたり、いろんな味付けをしています。
 時が過ぎるなかで、日本人は、上手に受け止め、争わず、自らの文化をつくってきました。クリスマスに違和感を覚える人は、まずいないでしょうし、建長汁はいまや家庭の味となりました。上手に、融合させてきたのではないでしょうか。
 いまは便利ゆえに、なんでも、ものごとがかなうような錯覚をします。人前でいえなくても、キーボードを叩けば、なんでも、書いて人を傷つけてしまうネット社会。ちょっと、気に入らないから、と言って、血を流すようなことが日常茶飯事となってしまいました。豊かで、便利な時代になったからこそ、いまいちど、きちんとつたえる気持ちを大切に。「ありがとう」と言っても、顔色をみれば、感謝なのか、別の意味なのか、全く違ってきます。ネットや電話では伝わりませんね。便利なものは、ときに凶器になります。わかりあい、心を通わすことを、文明の利器とうまく融合することを考える時代になったのではないでしょうか。